
今回の『いぬかみっ!』リライト訴訟は、私、若月神無個人だけでなく、各業界で活動されているクリエイターにも広く関係する問題です。
このアカウントでは、齟齬なく訴訟の意義を皆様にお伝え出来るように、簡易のQ&Aを弁護士先生の監修の元で作ってみました。どうぞお読みください。
Q. 何があったの?
A. 私が最初にデザインをしたライトノベル『いぬかみっ!』のキャラクターを、WiZH株式会社が私に連絡も許諾もないままに、別のイラストレーターに描かせ、キャラクター原案のクレジットを削った上で、電子書籍の表紙として掲載。有料で販売・配信をしました。
事前に相談して頂ければ、契約書を交わした上で快諾したと思います。大変残念です。
※キャラクター原案のクレジットは『いぬかみっ!』のコミックやアニメには必ず表記されています。出版業界ではこのようにクレジットされることが慣例となっています。
Q. イラストレーターの著作権は基本買取なんでしょ?あなたに訴える権利はないのでは?
A. いいえ、『いぬかみっ!』における私の著作権は誰にも譲渡していません。コミックやアニメの二次使用料印税をKADOKAWAから17年間、途切れることなくお支払い頂いています。
尚、今回の総集編に使用することへの承諾は、一切していません。
Q. なぜ「無断リライト訴訟」なの?
A. 私が作り出したキャラクターをベースに、別のイラストレーターが描き直して(リライトして)商品化されたため、このように命名しました。
近年は生成AIの登場により、リライトのコストがほぼゼロと言っても過言ではありません。誰でも簡単に、他人の作品を元に「商品」を大量に作ることが出来てしまいます。
今回のような無断のリライトが許されてしまえば、安易な海賊版が世にあふれ、価格競争で負ける人間のクリエイターはすぐに食べてゆけなくなってしまうでしょう。
Q. あなた個人の話では?
A. いいえ、違います。
無断リライトが合法とされれば、最初に創出したクリエイターの権利は誰にでも無視できるようになります。これは世のすべてのクリエイターに関わる問題です。
Q. 無断リライトが認められたらどうなる?
A. 海賊版商品が合法化され、クリエイターの権利は一切守られなくなります。
現在、政府(自民党の知的財産戦略調査会など)がコンテンツ産業活性化対策としてIPビジネスの海外展開や権利保護に本腰を入れています。
日本のIPビジネス(漫画・アニメ・ゲーム)を世界に売り出していくためには、諸外国と同じようにクリエイターの権利が法律で守られているという信頼が必要です。
その土台が崩れれば、日本のIPビジネスに未来はありません。
Q. なぜ提訴して戦うの?
A. 泣き寝入りをすれば、次の被害者が生まれるからです。
生成AIを使えば簡単にリライトができてしまうこの時代に、生きている人間のクリエイターが黙ってしまったら、何が残るでしょうか。
声をあげなければクリエイターも作品も未来も守れません。そのために今回提訴をしました。
#いぬかみっ
#リライト訴訟
【無断リライト訴訟】
昨日、東京地方裁判所にて、ライトノベル『いぬかみっ!』のイラストレーターの若月神無さんが、同作品のキャラクターに似たイラストを無断で使われたとして、出版社であるWiZHに著作権侵害を理由とした損害賠償や差止めなどを求める訴えを訴訟代理人として提起しました。
実はこの訴訟は、個別の著作権紛争にとどまらず、大きな社会的意義を持つ訴訟になると考えています。
今、生成AIの登場で、クリエイターが何年もかけて生み出したキャラクターを「リライト」して新商品を作るコストは、ほぼゼロに近くなりました。つまり、今後は誰でも・簡単に・大量に、他人の創作物をベースにした商品を作れる時代です。
今回のような人気作品の主要キャラクターのリライトが合法とされてしまっては、その他沢山の作品においても最初に創作をしたクリエイターの権利は蔑ろにされてしまいます。
今回の裁判では、きたるAI時代に、著作権法の解釈も含め、今一度クリエイターの権利の境界線を問う訴訟になります。この訴訟を通じて、クリエイターの権利を守っていきたいと考えています。
【クリエイターのために】
このような無断リライトが認められてしまえば、生成AIなどで量産された"元ネタあり"の多くの商品が合法化され、クリエイターの権利は守られなくなってしまいます。
日本のマンガ・アニメ・ゲームを世界でさらに通用させていくには、「作った人の権利が守られている」という信頼と、創作をしたクリエイターが報われる仕組みを作る必要があります。その土台が崩れれば、日本のIPビジネスに対する信用も、クリエイターの創作意欲も失われます。
これからのクリエイターのために、本訴訟を通じて、若月さんとともに戦っていきたいと思います。同じ想いを持った方には、是非とも、応援・一緒に戦って頂けますと幸いです。
【Unauthorized Rewrite Lawsuit】
Yesterday, at the Tokyo District Court, I filed suit as legal counsel on behalf of Kanna Wakatsuki, the illustrator of the light novel Inukami!, against the publisher WiZH, seeking damages and an injunction over illustrations closely resembling her work that were used without permission.
I believe this case carries significance well beyond an individual copyright dispute.
With the arrival of generative AI, the cost of “rewriting” a character that a creator spent years developing and turning it into a new product has fallen to nearly zero. We are entering an era in which anyone can easily produce, at scale, goods built on someone else’s creative work.
If rewriting the main character of a popular work like this is deemed lawful, the rights of the creators who made the original works — across countless other titles — will be treated as worthless.
This trial asks, once again, where the boundaries of a creator’s rights lie in the coming age of AI, including how copyright law itself should be interpreted. Through this case, I intend to defend the rights of creators.
【For the Creators】
If unauthorized rewrites like this are permitted, the many “derived-from-something” products mass-produced by generative AI and similar tools will effectively be legalized, and creators’ rights will no longer be protected.
For Japanese manga, anime, and games to go further on the world stage, we need trust that the rights of the people who make them are protected, and systems that reward the creators who do the creating. If that foundation collapses, so will confidence in Japan’s IP business — and creators’ will to create.
For the creators who come after us, I intend to fight this case alongside Ms. Wakatsuki. If you share these feelings, I would be grateful for your support, and for your joining us in this fight.

今回のQ&Aを読んで気になったのは、裁判の争点と生成AIの話がかなり混ざっていること。
若月神無氏が自身の権利を主張し、裁判で確認しようとすること自体は理解できる。
ただ、大前提として、問題の総集編表紙は生成AIを使ったと確認された作品ではない。
発売時から「さくら小春先生が担当」と告知され、報道でも別のイラストレーターが新たに描いた表紙として扱われている。
原告側も「今回の表紙はAI生成だった」とは主張していない。
今回問われるのは別の人が描いた新表紙に、若月氏が旧版で作ったキャラクターデザインの具体的な表現が残っており、翻案権侵害になるのか、という問題。
現時点では生成AI訴訟ではなく、人間のイラストレーター間でキャラクターデザインの権利範囲を争う裁判です。
それにもかかわらずQ&Aでは「生成AIならリライトコストがほぼゼロ」「海賊版商品が大量に作られる」「人間が価格競争に負ける」といった話が前面に出した上で「リライト訴訟」というタグでvs生成AI的な空気感を強く打ち出している。
危機感として語るのは分かるけど、本件と混ぜると「問題の表紙はAI生成だった」「AIによる盗用を訴えた事件だ」という誤解を招きかねない。
生成コストの低さや将来の価格競争も、新表紙が著作権侵害かどうかを直接証明する事情ではありません。
そして生成AIの話をするなら、逆方向の可能性も考える必要があると思う。
生成AIは、旧イラストを読み込ませて似た絵を安く作るためだけの技術ではなく、技術的に旧イラストを必要としない。
原作者自身が書いた本文や設定書だけを基に、旧挿絵へ依拠しない新しいビジュアルを作ることもできる。
本文に髪色、瞳、髪型、衣装、装飾品まで具体的に書かれ、その文章だけから画像を作ったのであれば、原作者自身の創作的寄与の視覚化」という説明が成り立ちやすくなる。
また若月氏の主張が広く認められ、「最初の絵師が作ったデザインを維持する限り、出版社を移っても、別絵師に交代しても、将来にわたり許諾・使用料・クレジットが必要」と受け止められれば、原作者や出版社側もリスク回避を考える可能性がある。
最初から全面的な権利譲渡や広い利用許諾を求める。
キャラクターデザインを社内で作る。
原作本文や設定書を細かく決める。
あるいは、外部イラストレーターを使わず生成AIで内製する。
つまり、人間のクリエイターを守るために生成AIを持ち出した主張が、逆に出版社へ「最初から外部のイラストレーターを使わない」という経済的動機を与える可能性もある。
ここは無視できない反作用だと思う。
だから今回の裁判は、権利を明確化するのであれば、まずは生成AI問題と切り離して考えたほうがいいと個人的には思う。
見るべきなのは、旧イラストのどこが若月氏独自の具体的表現なのか。
新表紙はその表現に依拠し、本質的な特徴を引き継いでいるのか。
そして過去の契約や許諾はどうなっていたのか。
生成AIは、その判決が今後の制作方法や契約にどんな影響を与えるのかを考える段階で、初めて出てくる二次的な論点だと思う。
この裁判の重要性は生成AIへの賛否ではなく、小説家が文章で作ったキャラクターとイラストレーターが追加した視覚表現をどこで分け、出版社が将来どこまで利用できる契約にするのか。
そこにあると思います。
流石にびっくりした。
話をすり替えて反AIを味方につけようとしてますか?
ちょっと厳しい見方をしないとならないですね、これは
これ読んで逆に混乱した。この方は誰と何を戦ってるの? 弁護士はどこを監修したの?
①問題意識が変
無断リライトは既に違法である(翻案権侵害)。この方がこの訴訟で負けようと、翻案権がある限り永遠に違法である。被告も翻案権自体は肯定するに決まってる。この方の負け筋は、原案の本質的特徴が表れているほど類似してないと言われてしまうパターンである。だから、無断リライトに焦点をあてた使命感はおかしい。「これは世のすべてのクリエイターに関わる問題」とは到底思えない。
②無意味なAIの話
無断リライトがまかり通るとAIとの価格競争で負けてしまうのだと言う。しかし、この方が主張するように髪色・瞳の形状・瞳の色・ペンダント・顔の輪郭などの組み合わせを著作物の本質的特徴とするなら、プロンプトを思慮深く構成すれば、AIに原案を参照させつつも本質的特徴を消し去り新規著作物として作らせることも可能である。無断リライトを禁止したところで人間に勝ち目はない。どちらにせよ人間のイラストレーターがジリ貧なのは変わらない。
③海賊版とは何?
人間が無断リライトした二次創作・ファン創作も海賊版だということなら、日本のIP産業・オタク文化はむしろ海賊版をゆるく認めてきたからこそ発展してきたのであって、むしろこの訴訟が逆効果になるのでは?とまで言えると思う。人間が無断リライトするのはOKということであれば、何のために訴訟しているのか分からない。
完全にAI関係なくて草生える
流れ弾じゃん!
(おかげで新イラストはさくら小春が担当してるのに生成AIで作ったと誤認してる人まで発生しとるし)
これ、著作権の議論になっていません。キャラクターに対する権利の主張になってしまっています。
原作者の指示の部分はもちろんイラストレーターの創作になりませんし、ありふれた表現もイラストレーターの創作になりません。それを前提に、イラストあるいはキャラクターのどの点に著作物性が認められていて、それをどう侵害されたのかが特定されないまま「リライト」を問題にしても何にもなりません。
法律的には(少なくとも著作権法の範囲では)かなり苦戦するだろうなと思いつつ、経済的・心情的には分からんでもないし、かといってこの主張が法廷で通ると、二次創作を名乗って無断翻案や無断複製で食っている連中は大いに萎縮するだろうから気の毒だな、いや待て、気の毒でもないか、などとグルグル。
今だとAIがありますので選択肢として十分です。
そりゃ『いぬかみっ!』のイラストの権利はこの人にあるだろうけれど、キャラクター及び作品の権利はの権利は原作者と出版社じゃない?それを私のものと言い張るのは……厳しくないか?
生成AIが登場する以前からある問題だし、自分が関わったことのある著作権法絡みの知財裁判も方向性は一緒です。
有沢先生というかWiZHも不義理ではあったかもしれないけど、AI使って書いた訳でもないのに
「人類は衰退しました」のイラストレーターさん交代時にキャラデザ自体が1から全て変更になったのは、当時の読者からすると残念感が強かったけど、降板したイラストレーターさんにも新任のスラストレーターさんにも必要な正義だったんだなぁ……
これは以前の仕事に対する報酬なんだから、当然としても、だからって全ての権利を有しているとは言い難いんじゃないの。
AIを引き合いに出して、煙に巻こうとしている気がするな。
オリジナルと出版社が違うとはいえ、本人に一報入れて原案としてクレジットすればここまでこじれなかった気がしますね。
正直、総集編上巻の配信停止、下巻の見込み立たずという状況に持っていけただけで半分は目的達成していると思う。
せっかくのアニメ化20周年アニバーサリーなのに勿体ないけど、ボタンの掛け違いでこうなる事もありますね。
著作権的にはどこまでデザインの特徴がイラストレーター本人のオリジナルと認められるかという部分が興味深い。
裁判沙汰までいくケースは意外と少ないので、判例が一つ増えるという意味では見守りたいと思います。
生成AI問題を絡めたのは今風ではあるんだけど、現状だと悪手な気がします。
本人のAIへの理解が追いついていないまま構想が大きくなっているせいで、生成AIにかければ海賊版出してもOKみたいな変な誤解が広まる危険がある(実際既にそういう意見も出ている)
一番重要な「絵師のオリジナルはどこまで認められるのか」の争点がブレるのは良くないと思うんだけどなぁ…。








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